今回は、読んで面白かった本の紹介をします。
『復讐者マレルバ――巨大マフィアに挑んだ男』
「復讐者」というタイトルは過激だが、暴力の表現はそれほど凄惨ではなく、怖い本ではない、と私は思う。
マレルバはとある終身刑の男のニックネーム。イタリアのシチリアでマフィアを数名殺した罪で今も刑務所にいる。この本は、そんな彼の半生を物語にしている。マレルバが警察に捕まったのは20年ほど前の話でそれほど遠い昔話ではない。
この本の魅力を2つに絞って挙げてみると次の通り。
- マレルバが体験した特別な世界の様子が見れて面白い。
- シチリアのマフィアなど、自分が知らない世界、ヨーロッパの一部の地域について学べる。
僕にはできないマレルバの特別な世界を見れて面白い
犯罪者という意味ではなく、マレルバは非常に特殊な体験をしており、本を読むことで彼が見た世界をのぞけるのは面白い。
マレルバの犯罪行為が読んでいて面白いわけではない。マレルバは人を助けることもしている。実際に友達や仲間を大事にしている。そのためマレルバ自身も人によく助けてもらっている。マレルバは人に好かれる魅力があり、女性にもかなりモテる。
本に書かれてある彼の行動を読んでいると、彼が好かれる理由にも納得がいく。マレルバは人に対して優しいし、とても素直なのだ。
犯罪者としてのマレルバを真似する訳にはいかないが、マレルバが人から好かれる理由は学ぶところがある。
一部の地域だがヨーロッパについて学べる
シチリアでマフィアが有名であることは知っているが、実は具体的なことについては、私はほとんど知らない。
本書では、マレルバの目を通して、彼が体験した世界として、ヨーロッパのいくつかの地域について知識を得ることができる。
シチリアや、その地域のマフィアもそうだし、彼が異文化として体験したドイツのことにも知ることができる。その他、ヨーロッパのユーゴスラビアの紛争やスペインの観光地イビサなど、部分的ではあるものの、マレルバの体験を通じてリアルな情報が手に入れることができる。
知識は情報の羅列からアタマに入れるのは大変だが、物語や面白い話を通じて知ると、身につきやすい。そのようなことを「ローマ人の物語」の著者である塩野七生も言っていた気がするが、そのとおりだと思う。
マレルバが語る体験話は、まるで私が本人から直接話しを聞いているような感覚で、知識が頭に入りやすい。このような形での勉強は楽しい。
コメント